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こんにちは、JLです。
前回の記事の最後に少しだけ紹介した、Cartreader専用 Arduino互換機 Cartreaduino Mega 2560 を作ってみたお話です。
追記(2022/01/23)
Cartreaduino Mega 2560(USB Type-C搭載)の販売を開始しました。
どんなものなの?
Cartreaderの組み立てをより簡単にするためのモノです。
Cartreaderを作る上で、通常はArduinoを改造する必要があります。その改造というのが、Arduinoに表面実装されているパーツを2つ除去するといったものです。
言葉にすると簡単そうですが、はんだごてを2つ持ちして外したり、ヒートガンで熱して外したりと、工夫が必要になってくる工程です。
Cartreaduino Mega 2560 はその工程をしなくても、Cartreader 取り付けるだけで簡単に組み立てが完了する、Cartreader専用にカスタマイズされたArduino(互換機)という事になります。
ポイント1 取り外す部品が最初からない
取り外す部品は、RobotDynのMega 2560 CH340Gで説明すると、この箇所の2つを外します。

Cartreaduino Mega 2560 は、この2つのパーツを最初から実装していません。そのため、外す工程が不要になっています。
ポイント2 電源線を部品にはんだ付けする必要がない
通常工程では、CartreaderとArduino間を2本のワイヤーではんだ付けする必要があります。

はんだ付けが得意な方であれば問題ない工程ですが、チップヒューズ(上側)へのはんだ付けなど、加熱しすぎるとチップ部品を剥がしてしまったり、取り付けた後、線に引っ張りがかかったりした際に部品やパターンごと剥がれてしまうという事故が起こりえます。
Cartreaduino Mega 2560 は、Cartreaderと接続するための、はんだポイントを別途用意してあります。
それが前回の記事でチラっと紹介したこの画像の箇所になります。

パッドでも、スルーホール(穴のほう)でも、どちらでも付けやすいほうを利用できるようになっています。
ポイント3 USB Type-Cに対応
従来のUSB端子は micro B等でした。

こちらの端子が、割と簡単にモゲマイクロします。
どういったことかというと、刺さっているUSBケーブルに軽く衝撃等がかかるだけで、簡単に基板からモゲます。
モゲないようにはんだでサイドを補強したり、エポキシ樹脂で補強したり、マグネット式の端子をつかったり、色々対策はありますがなかなか手間がかかる端子だったりします。

なので、前回の記事でも紹介したこの画像の通りCartreaduino Mega 2560では、左右の足がちゃんと基板にはんだ付けできるタイプの強めなUSB Type-Cに対応しました。
そんなCartreaduinoをつくってみた
というわけで、先にCartreaduino Mega 2560の特記ポイントを3つご紹介しました。
そんなCartreaduinoをつくってみた話に入りますが、今回初めて、PCBAというサービスを利用しました。
PCBAとはPrinted Circuit Board Assemblyの略で、簡単に言うとPCB(基板)を製造した後に、ある程度の電子部品を機械的に取り付け・はんだ付けを行ってくれるサービスです。
全部実装してもらうほうが楽ではあるのですが、部品の在庫がなかったり、メインのチップであるATmega2560の値段が、半導体の品薄により高騰していたりで、別途購入する形をとり、一部の部品だけ取り付けを依頼しました。

悲しい事情…時期が悪い
部品の在庫については、某感染症の影響による半導体の品薄と関連していて、製造工場が稼働していなかったりで供給が追い付いていない状態です。
また、 ATmega2560に関しても、販売業者に見積もりを行ったら、「高騰しているため」という理由で3倍の値段になったりしました。
正直なところ、「今はタイミングが悪い。時期じゃない」という感じはしました…😥
しかし、燻っていても、値段や供給が平時に戻る時期がまったく読めないので、思い切って小ロット製作してみることにしました。
届いた基板を組み立て
そして一部実装してもらった状態で届いた基板がこちらです。

この基板にピンソケットと、 ATmega2560を取り付けていきます。
位置を合わせたらフラックスをちょっと多めに塗布します。
そしてはんだごてを滑らせるようにはんだ付け。

そうしたら、以前作ったUSBasp機能を持つボードで、ブートローダーの書き込みを行います。

完成しました
無事にブートローダーも書き込み、Arduino互換機として動作するようになりました。

そして、ちょっと遊び心で遊んだ裏面です。Cartreaderに取り付けるとこちらの面が見えるので、ゲームっぽさを表現してみました。

というわけで前回の動作テストではこんな感じになっていました。
無事にきちんと動作をしています。

Cartridge Reader Alterと組みあわせると…
Cartridge Reader Alterは通常のArduino(互換機)を取り付けが出来ますし、もちろんCartreaduinoは、通常のCartridge Reader に取り付けが可能です。
ですが、実は、Cartridge Reader AlterはCartreaduinoと組み合わせると、さらに簡単に組み立てができるようになっています。
ポイント2で解説した、電源線を接続するためのスルーホールに、2ピンのピンソケットをはんだ付けします。

そして、 Cartridge Reader Alterは、ちょうどその上にくる部分に電源線接続用のスルーホールが存在していますので、そこに、2ピンのピンヘッダをはんだ付けします。


すると、ガッチリとCartridge Reader AlterとCartreaduinoを接続することができ、電源線のはんだ付けは不要になります。
これにより、分解清掃などを行う際も、誤って電源線を強く引っかけてしまったりして、パターン剥離をしてしまう危険性などがなくなります。

Cartreader Alterシリーズ いったん終!
というわけで、2回に亘って、Cartridge Reader AlterとCartreaduinoをつくってみたお話でした。
完全に自分自身が作りやすく、安定動作するものが欲しかった、という自分仕様のもので、「汎用的なモジュールを組み合わせて、安く仕上げられるカートリッジリーダー」というコンセプトからは少し離れているかもしれませんが、どうせ1から作るなら壊れにくいものを作りたいなぁ…と思い、今回色々作ってみたのでした。
Twitterで基板の頒布等の告知などしていくかもしれませんので、もしよろしければフォロー等よろしくお願いします😃
さてさて、次は何をつくろうかな…?
また次回、機会がございましたら、お読みいただければ幸いです👋